入管法では在留資格「経営・管理」について、『本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動』と規定されています。

ここでは、経営・管理ビザの許可を取得するためには、具体的にどのような活動内容でなければならないか(在留資格該当性)について説明いたします。

 

『本邦において貿易その他の事業の経営を行い』とは

経営の類型

本邦における事業の経営を行う活動の類型は以下の3つのパターンがあります。
経営を行う場合は3つのどれかの類型にあてはまっていることが必要です。

➀日本において活動の基盤となる事務所等を開設して事業の経営を行う
➁日本においてすでに営まれている事業の経営に参加する
➂日本において事業の経営を行っている者や経営を開始した者に代わってその経営を行う

なお、ここにいう「貿易」とは単なる例示ですので、「事業」は貿易に限りません。

 

経営の具体的な活動内容

事業の経営を行う活動とは、事業の運営に関する重要事項の決定、事業の執行もしくは監査の業務に従事する代表取締役・取締役・監査役などの役員としての活動をいいます。

ビザを申請する外国人の方が、単に名前だけの役員ではなく、実際に経営活動を行う必要があります。

 

審査のポイント

ビザの申請においては、申請人である外国人が実際に行う業務の内容を確認して、単に名前だけではないかどうかが審査されます。

これから新たに事業を開始する場合は、その開始しようとする事業内容が具体的か、申請人が取得した株式や投下資金の出どころはどこかなど事業の開始に至る経緯全般からこれを審査されます。

また、すでに経営を開始している事業に外国人を経営者として招へいする場合で他にも経営者がいる場合には、経営者間の投資の割合や業務内容を比較して審査されます。

例えば発行済み株式数の半分以上を取得しているような場合は実質的な経営を行うものと判断されやすいです。
ただし、投資額が〇円以上必要ということではありません。
申請人自身が500万円以上を出資することが必要ということでもありません。(→経営管理ビザの要件その2参照)

 

『当該事業の管理に従事する』とは

管理の類型

本邦における事業の管理を行う活動の類型は以下の2つのパターンがあります。
管理を行う場合は2つのどちらかの類型にあてはまっていることが必要です。

⓵日本において経営を開始してその経営を行っている事業または経営に参画している事業の管理に従事すること
➁日本において事業の経営を開始した者もしくは日本でのこれらの事業の経営を行っている者に代わって当該事業の管理に従事すること

 

管理の具体的な活動内容

事業の管理に従事する活動とは、部長、工場長、支店長などの管理者として事業の管理業務に従事する活動が該当をいいます。

管理の場合も経営と同じように、ビザを申請する外国人の方が単に名前だけの管理者ではなく、実際に管理業務活動を行う必要があり、ビザの審査においても申請人が実際に行う業務の内容を確認して審査されます。

 

『事業』の適正性・安定性・継続性

経営・管理ビザ取得のための「事業」は、適正に行われるものであって、かつ安定性および継続性の認められるものでなければなりません。

適正性

経営管理ビザを取得するための事業は、日本で違法に行われるものでなければ業種に制限はありません。
風俗営業でもかまいません。

労働者をひとりでも雇って事業を行う場合には、労働保険・社会保険に加入することが必要です。

また、その事業が法律上許認可を必要とするものであれば、許認可を取得することが必要です(ビザ申請時に未取得の場合は確実に取得する見込みであることが必要です)。

 

安定性・継続性

申請人が経営・管理する事業が安定して継続的に営まれるものと客観的に認められることが必要です。

安定性・継続性があるかないかは、単に資本金の大小だけではなく、売上高・利益・従業員数などから総合的に判断されます。

新たに事業を開始しようとする場合には、事業計画書の内容に具体性・合理性が認められ、実現可能なものでなければなりません。
事業計画書には、営業内容・営業品目・売上見込み・収支見積もりなどを具体的に記載して営業活動が安定的に継続することが見込まれることがわかるようにすることが必要です。

また、既存の事業の継続性は損益計算書や貸借対照表などから直近二期の決算状況等を総合的に審査されます。

 

会社の設立と登記は必要か?

経営・管理ビザにおいては、登記事項証明書の提出がないことのみをもって不許可処分をしないこととされていますので、必ずしも会社の設立登記がされていることは必要ではありません。

したがって、たとえば個人事業の形態であっても申請をすることは可能です。
ただし、個人事業の形態で経営・管理ビザを取得することは会社を設立する場合に比べて少し困難になります。

また、会社を設立する予定だが、まだ登記をしていないような場合には、一定の要件のもとに先に在留期間4か月の経営・管理ビザを取得することもできます。(→詳しくは「4か月の経営・管理ビザ」のページへ)