経営・管理ビザの要件その1に続いて、そのほかの要件(上陸許可基準)について説明します。

 

事業所存在・確保の基準

「経営・管理」ビザにおいては事業の継続性・安定性が求められるので、その事業を行うための事業所が日本にあり、⓵経営活動が単一の経営主体のもとにおいて一区画を占めて行われていることと➁財貨及びサービスの生産・提供が人および設備を有して継続的に行われていることが必要とされています。

賃貸物件の場合は、賃貸借契約においてその使用が事業目的であることを明らかにし(つまり貸主が事業のために使用することを承諾していることが必要です)、賃貸借契約者もその法人等の名義とし、その法人等による使用であることを明確にすることが必要です。

短期間の賃貸スペースや容易に処分が可能な屋台等を利用することは合理的な特別の事情がなければ許可されません。
また、バーチャルオフィスなども認められません。

住居として借りている物件の一部を使用して事業をする場合は、事業として使用する部分と住居部分とがきちんと分けられていることが必要です。

住居物件の一部使用の場合、具体的には以下の要件を満たしていることが必要です。
⓵住居目的以外での使用を貸主が認めていること(借主と事業を行う法人との間で事業所として転貸借されることについて貸主が同意していること)
➁借主もその法人が事業所として使用することを認めていること
➂事業を行う設備等を備えた事業目的占有の部屋を有していること
④公共料金等の共用費用の支払いに関する取決めが明確になっていること
➄看板などの社会的標識を掲げていること

また、一般的に事業所には電話・FAX・コピー機・パソコンは最低限備えられていることが必要です。

 

事業規模の基準

「経営管理」ビザが認められるためには、事業の規模が次のいずれかに該当していることが必要です。

⓵その経営又は管理に従事する外国人以外に日本に居住する2人以上の常勤職員が勤務する事業であること
➁資本金の額または出資の総額が500万円以上であること
➂事業の規模が⓵または➁に準ずる規模であると認められること

 

⓵「日本に居住する2人以上の常勤職員」について

日本に居住する職員とは具体的には、日本に住むⓐ日本人、ⓑ特別永住者、ⓒ永住者ビザをもつ人、ⓓ日本人の配偶者等のビザをもつ人、ⓔ永住者の配偶者等のビザをもつ人、ⓕ定住者ビザをもつ人です。

常勤の職員といえるためには、一定の職務と責任が決められていて、労働日数が週5日以上で週の労働時間が30時間以上でなければなりません。
いわゆるパートタイマーは常勤の職員にはなりません。

また、雇用契約の形態が派遣、請負、在籍出向で働いている人は常勤の職員にはなりません。

 

➁「資本金・出資金の総額が500万円以上」について

これは事業が会社形態で行われる場合を前提とした要件です。

株式会社の場合は、現物出資によるものも含めた払込済資本の額が、合名会社・合資会社・合同会社の場合は出資の総額が、500万円以上の事業であることが必要です。

500万円以上というのは、事業の規模の基準であって、申請する外国人自身が500万円以上を出資しなければならないものではありません。

ただし、事業の経営を行う者として「経営・管理」ビザを取得するためには、申請人が経営に実質的に参加しなければなりません。

そして、それは申請人が取得した株式の割合や事業に投下している資金の出所など、事業を開始することになった経緯全般から判断されます。

したがって、特に資金をどのように調達したのかについては、合理的な説明・立証を行うことが重要です。

たとえば、海外から資金を送金してもらうといった場合は、振込送金で送金してもらうなど、立証しやすい方法で行っておくことが必要です。

 

➂事業の規模が⓵または➁に準ずるとは

これは、営まれる事業の規模が⓵や➁にあてはまらなくても、実質的に⓵や➁と同等だと考えられるようであれば要件を満たすとするものです。

例えば、常勤職員が1人しかいない場合であっても、もう一人を雇うだけの費用(おおむね250万円ぐらい)を投下して営業をしているような場合は⓵に準ずるものといえます。

また、個人事業の形態で事業を開始しようとする場合に、500万円以上を投下して営業をしているような場合は➁に準ずるものといえます。
投下の対象は、事業所の確保のための経費、従業員の報酬、事業所の備品や設備費などであることが必要です。

 

管理者の基準

これは、申請人である外国人が事業の管理に従事しようとする場合の要件です(したがって、経営者となる場合にはこの要件は不要です)。

以下の2つともを満たしていることが必要です。
⓵3年以上の事業の経営または管理の実務経験を有すること
➁日本人と同等額以上の報酬を受けて管理の業務に従事すること

実務経験については、大学院で経営または管理に関連する科目を専攻した期間がある場合には、その期間も実務経験期間に含めることができます。
したがって、大学院で3年間の専攻期間がある場合には実務の経験は不要です。